ソイルメーカー 石山陽介|焼き芋がおいしいのは 土の力で、元気に育ったから

「土」をテーマにしたmammoth “Soil”特集の巻頭インタビュー。第4回は、ソイルメーカーの石山陽介さんにお話を伺いました。
– 8年ほど前から、種子島の安納芋を使った焼き芋の専門店をやっています。といっても、僕の本業は土づくりです。土の仕事に携わったのは、ベンチャー企業の社長と知り合ったのがきっかけでした。彼は農家向けに米ぬかやおからを主原料とした土壌改良材で、「Re:SOIL」という、土を元気にする肥料を製造販売していました。Re:SOILで育てた野菜は、トマトなら皮がパリッと、トウモロコシなら実がギュッとつまっていて、しっかりした味になります。僕が知っていた価値観とは異なる豊かさに共感し、この土を使って農家の方をサポートしています。
植物にとって、土は動物の“胃”の役割をしています。落ち葉などの有機物を、土が“消化”して無機物に変え、根から栄養として吸収しているんです。その消化に欠かせないのが、土のなかの微生物です。微生物の生態系は地域によって異なり、絶妙なバランスになっています。でも化学肥料などを使うと、これが崩れ、土の消化する力も弱まってしまうのです。そこにRe:SOILを混ぜると、微生物が活発に働ける環境になり、本来の生態系が甦ってきます。やがて作物も元気に育つようになるんです。
僕の店では、種子島の農家の方にその肥料で育ててもらった安納芋を使っています。蜜があふれ、なめらかな食感で、これまで食べてきたサツマイモとは味わいが違うはず。この焼き芋を通じて、たくさんの人に土の力を感じてもらうのが狙いです。今、スタッフは20人ぐらい。僕たちも多様な個性を発揮する、“土”のようなチームでいたいです。
石山陽介(いしやま・ようすけ)
1979年、広島県生まれ。大阪芸術大学卒業。Re:SOILを製造販売する企業に入社し、製造から農家への営業まで担った。独立後も、Re:SOILのよさを広める方法を模索。2009年、大阪・中崎町に焼き芋専門店「蜜香屋」を開く。